経済史、世界経済史について

　1840年代のイギリスは”飢餓の時代＝hungry 40`s”と呼ばれ、恐慌と停滞の時代であったが、1850年代に入るとカリフォルニア金鉱脈の発見など、いわゆるゴールドラッシュによる”黄金の時代＝golden 50`s”というような繁栄の時代に入る.
このことを象徴的185１年にロンドンで開かれた、産業大博覧会である。
そしてしばらく、７つの海を支配する大英帝国として君臨する。もちろんその間には、1825年からの10年周期の恐慌など、労働者階級の生活
は悲惨なものだった。この点はエンゲルスの著「イギリスにおける労働者階級の状態」などに詳述されている。
また、この間イギリスのインド支配、綿花恐慌などによる植民地支配もひどく残虐なものだった。
そして、すでに1870年代には、序々に、当時の後進国であったドイツ、アメリカなどの経済的追い上げをくらうのである。
そして、イギリスは第一次世界大戦直前の1914年までの間に、少しずつ衰退し、いわゆる”イギリス病”に近い状態になるのである。
この辺のところを扱った書物トしては、Ｓ．Ｂ．ソウル著「イギリス海外貿易の研究」、　ロイドハリソン著「産業衰退の歴史的考察」などがある。

以下は第一次世界大戦間期、戦後の世界経済について述べる予定であるので今回は第二次世界大戦の原因などについて述べることにと
どめたい

1920年代の成長国アメリカは、世界各国の金の半数を所持していた。そのため世界各国は金不足（世界貨幣の不足）すなわち、貿易の最終決済の手段が不足していた。
折から、イギリス中心の中心の国際金本位制が崩壊し、分断化された、一時的には再建されたが、それは１９２９年の世界恐慌によって破られた。そして主要国は経済ナショナリズム＝自国の保護主義政策をとりはじめるのである。
その先鞭をつけたのがアメリカである。同国は１９３０年に、高率のスムーと・ホーリー関税を制定し、市場確保のための、通商ブロックを形成した。
それに対抗しイギリスは1932年、オタワ会議を開き植民地、自治領の首脳を集め、オタワ協定を制定し、対外貿易はポンド為替で決済するという通貨、通商ブロック＝スターリングポンドブロックを形成した。
植民地自治領を持たない日本やドイツは簡単にそうしたブロックを作ることができず、ドイツは武力を背景とした、二国間清算協定（為替清算協定）によって近隣のルーマニアなどに脅しによってマルクブロックを形成しようとした。
日本は日満、円ブロック＝大東亜共栄圏を築こうとして、日中戦争、第二次世界大戦に到るのである。

以上はあくまで、経済学上、ブロック化の視点からのサーベイです。
経済的なこうした視点からは、戦争責任論や階級関係、階級形成論また、スターリニズムの戦術的誤りも、度外視されてしまうと思います。が、経済学上はそのような問題は捨象されるのだと思います。